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作家活動とシェアハウス

住居のため、個人情報の保護として個人名など詳細の明記は避けますが、10月1日から、作家同士のシェアハウスに入居しました。

作家活動をしている方だと少しわかると思うのですが、生活スペースと制作スペースを一緒にするというのはスペースの面、絵の具などの汚れの後処理の時間が余分に要ること、食事や絵の具の匂いが制作と生活、互いの邪魔をすることなどなど障害が多く伴い、(そもそも特殊な工房でないと制作が不可能な方も多くいると思いますが)特に日本画、油絵、立体系の方は共同のアトリエ・アトリエとして一部屋別のスペースを利用している方も多くいると思います。

現在私は居住用のスペースと、大作・地塗り用に客間のスペースを一時利用し、客間使用時には作品を生活に支障のない範囲で退けるという形で日々を過ごしています。

シェアハウスに挑戦しようと思ったのは、ワンルームの生活と制作の中で吸引し続ければ人体に影響を及ぼす揮発性油から寝床を隔離し、また作品を食事から遠ざけて虫害から守る目的が第一でした。

もちろんそこが改善し、わざわざ片付ける余分な時間も大幅に減ったというのは非常に成果として大きいのですが、実は別に想定外の利点があり、今回はそこをスペース不足諸々と日夜戦う作家さんがたにシェアしたくてこうして記事を書いています。

それは、「共同生活者がいる」ということ。

シェアハウスに入ります、というと、気を遣いそう、ストレスが溜まりそう、という意見をよく耳にし、実際共有スペースにおいては、誰の持ち物なのかわからないことで物がたまり、掃除がゆきとどかなくなりがち(そして喧嘩になる)だという問題点はあるようなのですが、私は約5年一人暮らしをしていたので、「いってきます」に「いってらっしゃい、気をつけてね」とかえってきたのにとても驚きました。

私の場合は運良く人数が少なく、各々の生活スペースもフロア自体が違い干渉が少ないという点は大きく働いているでしょうが、作家同士は個々の目標や世界がありますから、今の所、共同生活におけるストレスというのはほとんどありません。

引っ越し直後なので、知らない部屋、知らない匂いに怯えて夜あまり眠れず、腕がしびれたりはしましたが、まあこれは単純に私が臆病で、引っ越しのストレスが大きいかなと思います。

むしろ、作品制作に集中しすぎて食事を忘れがちだったので、自分の空腹と料理の気配できちんと時間に形だけでも食事をすることができたのに今一番ありがたさを感じています。

集中しすぎると呼吸が浅くなり目がかすんだり、食事を何度も忘れるのは多いことではないかもしれませんが、少なくとも私ともう一人の住人は、台所で出会って連絡事項を話していると、今自分が何をしていたのかすぐに忘れてしまうような集中型の人間ですので、絵に多くの時間や金銭、人生そのものを投資している以上、そんなゆるやかなタイムキープと、とりあえず食器があり、とりあえず生活できるということの素晴らしさを痛感しています。

たしかに、一般の方はおしゃれに暮らしたいでしょうし、インテリアの統一もシェアしている空間ではかないませんが、私の場合は私の描く画が綺麗で快適なら、自分は体を壊さなければいいと思っているので、お風呂は一つしかないから順番だけれど、適度に不便で、でもそこがクリエイティブで面白いと感じています。

始めたばかりの生活ですので、時間が経てばまた考えも変わるかもしれません。しかし、シェアハウスの特性と作家の生活が想像以上に嚙み合っているように感じて、こうして文章を書いてみました。

たとえば慣れてきたとき、例えば締め切り前で心がせせこましくなっている、いわゆる「修羅場」に自分がどう感じるのかも非常に興味深く思っています。

定期的にこうしたレポを書いてみようかな?と思っておりますので、ぜひ制作スペースにお困りの方は参考にしてみてください。


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